近畿中央法律事務所
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解決への道しるべ
 

日常良く発生するトラブルについて、基礎知識を説明します。
但し、以下の説明はあくまで一例であり、必ずしも全ての方にあてはまるとは限りません。また、今後法律が改正される可能性もあります。現実にトラブルを抱えておられる場合には、あらかじめ弁護士等にご相談されることをお勧め致します。
※このホームページを利用した結果については、当法人は責任を負いかねますのでご了承ください。



→ 独占禁止法


企業活動において注意が必要な独占禁止法について解説しています。平成17年改正についても簡単に触れています。



Question 1  

質問 独占禁止法の平成17年改正のポイントは何でしょうか。
回答 平成17年法改正のポイントは以下の通りです。

@課徴金算定率の引き上げ等、課徴金制度による違反行為に対する抑止力の増強
A課徴金減免制度(自ら違反行為を申告し、これに関する資料などを提供 した者に対し課徴金を減免する)の創設
B公正取引委員会の犯則調査権限の導入
C罰則規定の強化
D独占禁止法違反行為に対する勧告制度の廃止及び排除措置命令の新設
E価格の同調的引き上げに対する報告徴収規定の廃止

 上記のAは欧米のリーニエンシー(Leniency)制度になっらた司法取引的性質を持つ新しい制度であり、さらに、Bは公正取引員会に対し、従来の立入調査権にはなかった出頭要請、質問、所持品等の検査および領置、裁判所の令状による臨検、捜索、差押えを含む犯則調査を可能とする新制度であることから、今後のこれらの新制度の運用に注目が集まっています。


Question 2  

質問 国内同業者の営業担当者らが定期的に会合を行い、特定の製品の値上げ率についての情報交換を経たうえで、その製品の購入先と値段交渉を行うことは独占禁止法の規制対象となるのでしょうか。
回答 独占禁止法は、事業者が他の事業者と共同して、価格、数量、取引先などの競争上の諸要素について、相互にその事業活動を拘束することで、一定の取引分野における競争を実質的に制限する効果をもたらす「不当な取引制限(カルテル)」(法第3条)を禁止しています。

  「不当な取引制限」の要件は、@業者間の意思の連絡、A相互拘束、B競争の実質的制限とされています。
@の意思の連絡は、明示、黙示を問わず、価格等の競争上の要素に関する情報交換が業者間で行われたという事情の下、ある業者が他の業者の行動を予測し、これと歩調をそろえる意思で同一行動に出た場合、これらの業者間には意思の連絡があると、過去の審決は認定しています。
また、Aの相互拘束は、カルテル破りを防止する実効的手段を講じない紳士協定のようなものでも足りるとされています。

  よって、本件でも、特定の商品の値上げ率についての情報交換が定期的に開かれる営業担当者らの会合において行われ、この情報に基づき購入先と値段交渉をするというのですから、業者間に黙示の意思の連絡があると認定されやすいと考えるべきでしょう。よって、本件の会合における情報交換により形成された値上げ率についての了解に基づいて、業者が各々行う購入先との値上げ交渉を行い、この結果、当該製品の市場における競争が実質的に制限された場合には、本件行為はカルテルに該当すると考えられます。

Question 3  

質問 当社は、スーパーマーケットを経営しており、集客のため、大幅に原価割れした価格の目玉商品を設定し、これを大量に販売することを計画しているのですが、このような行為は独占禁止法上の規制対象となるのでしょうか。
回答 このような行為は、不当廉売(独占禁止法第19条一般指定第6項)として規制対象になる可能性があります。

  不当廉売とは、@「不当に商品又は役務を低い対価で供給」することによって(価格要件)、A「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある」行為(影響要件)をいいます。

 @「不当に商品又は役務を低い価格」による供給にあたるか否かは、通常の小売業においては、その販売価格が仕入れ価格を下回るか否かが一つの基準とされています。
  また、不当廉売は、一般的には、ある程度継続的に行われる場合と考えられていますが、商品の特性や廉売の目的・効果等から、単発的廉売であっても不当廉売に該当するとされる場合もあります。
  本件のように大幅に原価割れした販売価格で大量に目玉商品を設定して販売するという場合、仕入れ価格を大幅に下回る販売価格である程度継続して当該価格で販売することが予想されますので、@の要件をみたすことになりそうです。

 なお、Aの影響要件については、行為者の事業規模及び態様、廉売商品の数量、廉売期間、広告宣伝の状況、商品の特性、廉売の正当な理由等を総合考慮し判断されます。
本件でも、御社の事業規模及び形態が郊外型スーパーマーケットなどにあたる場合、その商圏内の規模からして他の郊外型スーパーマーケットに及ぼす影響はけっして小さいとは言えず、Aの要件もみたすこととなりそうです。

Question 4  

質問 当社は、業界1位のメーカーです。当社では、販売店に対し、他社商品の販売を禁止する内容の特約店契約を締結していますが、最近、当社の特約店の一部が、他社製品の取扱いを開始しました。このような契約違反の特約店との特約店契約を解除しようと思うのですが、このような行為は独占禁止法上問題がないでしょうか。
回答 このような専売店制は、競争者にとり流通経路の重要な部分を閉鎖する効果を生じさせ、ひいては競争者の取引機会を減少させる競争制限効果を生じさせるおそれがあります。
御社のような業界におけるシェア第1位のメーカーが専売義務に違反した特約店を解除する場合、他の正当な理由がない限り、公正競争阻害性ありと認定されるおそれが強いと言わざるを得ません。

Question 5  

質問 当社では、商品の販売業者の登録制を採用しているのですが、当社が指示した小売価格を遵守しない販売業者の登録を取り消すこととしています。このような登録制は、独占禁止法の規制対象となるのでしょうか。
回答 メーカーが、販売業者らに対し、希望小売価格を提示することは独占禁止法上問題はありません。

  しかし、単なる参考価格としての提示にとどまらず、指示小売価格を遵守させるため、何らかの手段より実効性を確保しよとすることは、原則として、再販売価格の拘束と認定され違法となります。   

  本件登録制は、販売業者の登録を取り消しは、取引拒絶や出荷停止という制裁に繋がる可能性があり、このような登録制は指示小売価格遵守の実効性を確保する手段と認定される可能性が高いです。

Question 6  

質問 当社は、販売店を通して商品をユーザーに販売しているのですが、最近、販売店の一部が、インターネット販売の開始を希望しています。
これらの販売店が設置したホームページ上に、商品の小売価格を掲載すると、ユーザーに複数の販売店の価格情報を与えることになり、販売店間でのユーザーを奪い合うことにもなりかねません。
そこで、ホームページ上に小売価格を掲載しないよう、販売店に対し、制限をかけたいのですが、これは独占禁止法上問題がないでしょうか。
回答 メーカーが小売業者に対して販売方法を制限することは、商品の安全性の確保、品質の保持、商標の信用の維持等の合理的理由が認められ、かつ、他の小売業者にも同様の条件が課せられている場合には、独占禁止法上の問題は生じません。
しかし、販売方法の制限を手段として、小売業者の販売価格、競争品の取扱い、販売地域、取引先等について制限を行っている場合には、排他的条件付取引、再販売価格の拘束、拘束条件付き取引の観点から違法性の有無が判断されます。

本件の制限は、上記の合理的理由にはあたらず、本件商品の価格競争を阻害するおそれのある拘束条件付取引と認定される可能性があります。

Question 7  

質問 当社は、外国製の製品Aと同種の製品である製品Bを製造販売しています。
今度、当社は、製品Aの日本の輸入総代理店になる計画が持ち上がっているのですが、独占禁止法上問題はないでしょうか。
回答 御社の業界シェアが、その市場において10%未満または順位が4位以下である場合には、本件のような総代理店契約を締結することは、原則として、独占禁止法上の問題を生じません。

しかし、御社の業界シェアが10%以上かつ順位が3位以内であるという場合には、以下の点を総合考慮した結果、競争阻害効果ありと判断されると、かかる総代理店契約は「不公正な取引方法」として違法となります。

@総代理店となる事業者のシェア、順位、及び競争者との格差の程度ならびにそれらの変化
A供給業者のブランド力、売上高など総合的事業能力
B契約対象商品の国内市場におけるシェア、順位
C競争者の数、シェアの変動状況などの当該市場における競争状況
D契約対象商品の特質・販売価格状況、総代理店となる事業者が製造・販売する商品と契約対象商品との競合の程度など
E契約対象商品の流通への新規参入の難易性等の流通に関する状況

Question 8  

質問 当社は、海外メーカーのブランド商品の日本国内の輸入総代理店契約を締結しています。最近、A社が、第三国を経由して当該ブランド商品を並行輸入し安売りをするようになったので、海外メーカーを通事、A社の並行輸入をやめさせることはできるでしょうか。
回答 本件のような価格維持の目的のために行う並行輸入の阻害は、「不公正な取引方法」(法第3条)にあたるとして、独占禁止法上禁止されています。
  公正取引委員会が制定した流通ガイドラインにおいて並行輸入の不当阻害とされている類型は以下の7つです。

 ・海外の流通ルートからの真正商品の入手の妨害
 ・販売業者に対する並行輸入品の取扱制限
 ・並行輸入品を取り扱う小売業者に対する契約対象商品の販売制限
 ・並行輸入品をニセモノ扱いすることによる販売妨害
 ・並行輸入品の買い占め
 ・並行輸入品の修理等の拒否
 ・並行輸入品の広告宣伝活動の妨害

Question 9  

質問 当社は、○○製品を製造しており、当該製品市場において20%を超えるシェアを持っています。
当社は、今度、○○製品と同種の製品を製造しているA社と共同研究開発をすることを予定していますが、このような共同研究開発は独占禁止法上問題があるでしょうか。
回答 共同研究開発により参加者間で研究活動が制限され、技術市場や製品市場により競争が実質的に制限されるおそれがある場合、その共同研究開発は「不当な取引制限」(法第3条)にあたり、独占禁止法に違反することとなります。
 共同研究開発が、技術市場や製品市場での競争を実質的に制限するものかどうかは、@共同研究開発への参加者の数、市場シェア等、A研究の性格、B共同化の必要性、C対象範囲、期間等を総合的に考慮して判断されます。なお、共同研究参加者の当該技術市場または製品市場におけるシェア合計(上記@)が20%以下の場合は、原則として、当該共同研究開発は違法とはならないと考えられています。

  本件共同研究開発は、御社のみでも20%を超える市場シェアを占めていますので、上記A〜Cも加味した総合判断がなされることになり、本件研究の共同化の合理的必要性の有無や、研究対象・期間の限定の有無・程度などによっては違法と判断される可能性もあります。

Question 10  

質問 当社は、○○製品の製造・販売を行っており、今度、○○製品と同種の製品の製造・販売を行っているA社と新製品の共同開発を予定しています。
この共同研究開発契約中、「一事者は、共同開発した技術を第三者に実施許諾する場合に、他方当事者に承諾を得る必要がある。」という取り決めを設けておきたいのですが、このような取り決めは独占禁止法上問題がありますか。
回答 本件のような共同研究開発の成果の技術の第三者への実施許諾を制限する取り決めは、公正取引委員会が定める共同研究開発ガイドライン上、原則として不公正な取引方法にあたらないとされています。

 もっとも、本件開発が画期的なもので、その成果である技術がなければ事業の継続が困難となるようなものである場合、本件のような第三者への実施許諾の制限は、共同の取引拒絶(法第2条〜一般指定1項)、その他の取引拒絶(法第2条〜一般指定2項)、私的独占(法3条)に該当すし、違法となるおそれがありますのでご注意ください。



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