不動産の問題のご相談

不動産賃貸に関する法律問題 2 破産手続き

不動産賃貸に関する法律問題は様々ありますが、ここでは、貸主の立場から、賃料の滞納と、その場合の明け渡しの問題について取り上げます。

不動産の問題のご相談
賃料の支払いが遅れた場合どうすればいいかご説明します。どのような方法をとるべきか
不動産賃貸の問題に弁護士がどのような役割をするのかをご説明いたします。弁護士ができること
不動産賃貸の問題にかかる弁護士費用の目安です弁護士費用について

どのような方法をとるべきか

(1) 督促

賃料の支払いが遅れた場合、まず督促をします。
最初は、電話などでよいでしょうが、滞納が長期に及ぶようになった場合には、書面による督促をする方がよいでしょう。

なお、書面による督促は、内容証明郵便を利用する方が良いこともあります。

(2) 契約の解除

滞納賃料が、数か月分溜まってしまうと、このまま貸し続けることが困難になるでしょうから、契約の解除を検討します。
ただ、注意が必要なのは、契約の解除には「信頼関係の破壊」が必要とされていることです。
これは、裁判例で認められている考え方で、賃貸借契約のような継続的な契約は、小さな契約違反では終了させず、契約を継続していく信頼関係が破壊されるまで解除は認めないことが望ましいという考え方に基づくものです。

契約書に1か月分の滞納で解除できるという記載があっても、解除が困難なことが多いと考えられます。
2か月分になれば解除できることが多いですが、滞納の理由や、借主側の態度など、総合的な事情から解除ができるかどうかが判断されます。

なお、契約の解除は、通常、賃料の督促をしたにもかかわらず、「相当の期間」内に、賃料が支払われなかった場合に行うことができます。
この督促、解除の通知は、非常に大事なものですから、内容証明郵便によることが適当です。

(3) 訴訟

賃料の請求と賃貸物件の明け渡し訴訟の中で、最も多いのが、裁判所での和解による解決だと思われます。
この種の訴訟では、事実関係には争いがないことが多いですが、借主としては、生活の本拠を失うという大きな話ですから、自主的に出て行くがいつまで猶予が欲しいとか、滞納の賃料については分割払いにして欲しいとかいう話があることが多いです。
判決をもらうよりも、柔軟かつ早期に解決できることもありますし、約束が破られた場合でも、裁判上の和解であれば、判決同様に強制執行することができますから、検討の余地は十分あります。

なお、後に述べる強制執行によって立ち退きをしてもらおうとすれば、裁判は、「賃貸物件を占有している人」に対して起こす必要があります。
では、裁判を起こした後に、借主が誰かに又貸ししてしまうなどして、関係の無い人が、賃貸物件に住むようになったらどうでしょうか。
これは、その住み始めた人宛に裁判を出し直す必要がある場合があります。
それを防ぐために、判決をもらう前に、裁判所に占有の移転を禁止する決定(占有移転禁止の仮処分)を求めることも有ります。

(4) 強制執行

裁判をしても、賃料がきちんと支払われなかったり、賃貸物件の明け渡しを自主的にしてもらえない場合には、強制執行を行います。

  • 1:賃料
  • 賃料については、裁判所に申立を行い、借主の預貯金を差押えしたり、給料を差し押さえたりすることで回収します。そのためにも、賃貸借契約を結ぶときに、勤務先を確認するなどが必要です。
  • 2:賃貸物件
  • 賃貸物件についても、裁判所に強制執行の申立をします。
    専門の業者を依頼するなどして、借り主に物件から出て行って貰うことになります。
(5) 紛争を防ぐために

裁判を起こして賃料を請求したり、明け渡しをしてもらうことは非常に費用と時間がかかります。

できればこういう問題を起こさないか、起きても裁判外で解決できることが望ましく、そのためには紛争を起こさない工夫が重要でしょう。

その方法としては、

1:貸す前に借主の生活状況(勤務先)など確かめ、きちんと家賃を支払ってくれそうか確認する
2:万一に備え、保証人を用意して貰う
3:敷金を多めに入れて貰う

などが考えられます。

保証人については、形だけの書類を揃えるだけでは、後日それらが役に立たないというおそれがあります。
例えば、保証人を用意して貰う場合には、なるべく直接保証人の意思を確認したり、保証人についての生活状況を確認することが有益でしょう。

弁護士ができること

(1) 賃貸借契約にあたっての指導

賃貸借契約を締結するにあたって気をつけること、契約書の内容について指導を行うなどします。
特に、賃貸借契約については、借地借家法や消費者契約法に基づいて、色々な制約がありますから、後でこんな筈でなかったとならないために基礎知識を理解しておくことが必要でしょう。

(2)裁判外での督促・交渉

裁判になる前に、弁護士の方から、借り主へ、賃料の督促を行ったり、明け渡しの交渉をすることもできます。

(3) 裁判

弁護士が、裁判所に、賃料の請求や明け渡しの訴訟を提起します。

(4) 強制執行

弁護士が、裁判所に、賃料の回収のための差押えや、賃貸物件改修のための強制執行を申し立てます。

いくらぐらいかかるの?(弁護士費用について)

(1) 賃貸借契約の指導

法律相談・顧問契約の料金をご参照下さい。

(2) 裁判外での督促・交渉

基本的な考え方はこちらをご覧下さい。
経済的利益としては、滞納賃料の回収については支払いを求める金額、賃貸物件の明け渡し請求については明け渡しを求める物件の賃料の5年分程度を原則と考えています。
これに、裁判外での督促・交渉の場合の着手金・報酬の割合を掛けた金額が必要になります。

(3) 裁判・強制執行

一定の経済的利益に、一定の割合を掛ける点では、裁判外での督促・交渉と共通しますが、裁判所における手続きをとる場合には、割合が変わってきます。
また、裁判手続きを利用するにあたって、裁判所に納める実費が必要になったり、占有移転禁止の仮処分を行う場合には、担保金を供託する必要もあります。
詳しくはお問い合わせ下さい。