交通事故問題のご相談

はじめに

自動車が主たる交通手段である現代社会においては、交通事故は毎日のように発生しています。
そして、不幸にして交通事故に遭った場合には、人身事故であれ物損事故であれ、様々な損害が発生します。
そのような損害が発生した場合、誰に対して、いくらくらいの損害賠償が請求できるのか、どのような手続で救済を求めたらよいのか、分からないことが多いと思います。

当事務所では、交通事故の被害に遭われた方、さらには交通事故の加害者となってしまった方に対し、交通事故事件の解決のために手助けをさせていただきます。

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交通事故問題のご相談
交通事故の被害に遭った場合、誰に対して、どのような請求ができるのかお答えします。交通事故の基礎知識
交通事故事件を解決するためには、どのような手続をとればよいのか、
また弁護士がどのような役割を果たすのかお答えします。
交通事故の解決手続・弁護士の役割
交通事故事件について、よくあるご質問にお答えします。よくあるご質問

交通事故の基礎知識

1 交通事故による損害賠償請求
自動車の運転を誤って交通事故を起こした場合、不法行為(民法709条)が成立し、被害者は、加害者に対して、その交通事故によって被った損害の賠償を請求することができます。
2 誰に対して損害賠償請求できるか
損害賠償請求の相手方は、言うまでもなく、加害者すなわち自動車の運転者個人です。
しかし、損害賠償請求の相手方は運転者に限りません。

例えば、会社の業務として自動車を運転し交通事故を起こした場合には、被害者は、運転者の属する会社に対しても損害賠償請求ができます(民法715条)。

これを使用者責任といいます。

また、自動車を運転していなくても、その自動車を保有する者も損害賠償義務を負うものとされています(自動車損害賠償保障法)。

3 どのような損害が賠償の対象となるか
損害の種類としては、人身損害(怪我の治療費や慰謝料など)と物的損害(被害車両の修理代など)とがあり、いずれも賠償の対象となります。

より具体的に言うと、人身損害としては、

1:治療費、入院雑費、通院交通費などの治療に関連した損害
2:休業損害(交通事故の影響で休業したために得られなかった収入など)
3:傷害慰謝料(交通事故で負傷し入院や通院をしたことによる慰謝料)

などがあります。

また、交通事故による怪我の程度が重く、何らかの後遺障害が残ってしまった場合には、

4:後遺障害慰謝料(後遺障害が残り今後も不自由な生活を強いられることに対する慰謝料)
5:後遺障害に基づく逸失利益(後遺障害が残ったために満足に働けなくなったことで発生した収入の減少分)

などについても請求できます。

物的損害としては、被害車両の修理代や修理期間中の代車費用、全損(修理ができないほど破損した状態)の場合の被害車両の時価額や買替えのための諸費用などがあります。

交通事故の解決手続・弁護士の役割

(1)

交通事故事件を解決する手続としては、大きく分けて、示談で解決する場合と、調停や訴訟などの裁判上の手続を経て解決する場合とがあります。
加害者が任意保険に加入している場合が多いことから、保険会社が加害者側の窓口となって示談交渉にあたり、保険会社を通して示談が成立する場合も少なくありません。

この場合、保険会社の方から示談金額を提示してくることが多いと思いますが、示談金額が妥当な金額かどうか判断することが難しいと思いますので、示談に応ずるかどうかを決める前に弁護士に相談することをお勧めします。

示談が成立しない場合には、調停の申立てや訴訟提起をおこなうことになります。

(2)

示談によって解決する場合であっても、示談金額が妥当な金額かどうかを自ら判断することは難しいと思います。
保険会社から示談金の提示がなされる場合、どうしても低めの金額提示になることが多いのが実情です。
また、損害項目の中で漏れているものがあるかもしれません。

したがって、示談をおこなう場合でも、示談を成立させる前に、弁護士に相談し、提示された示談金額が妥当なものかどうかを確認することをお勧めします。
場合によっては、その段階で弁護士に依頼していただき、保険会社また加害者との間で、示談金額の上乗せ交渉をおこなっていくことも可能です。

示談で解決することができず、調停や訴訟などの裁判上の手続をとられる場合には、最初から弁護士に依頼した方が解決も早く、良い結果が出ます。

特に訴訟提起をおこなう場合に、弁護士に依頼せずに本人自ら手続を進めることは訴訟の専門性から極めて困難であると思われます。

よくあるご質問

Q.後遺障害の逸失利益とはどのようなものですか。具体的にはどのようにして計算するのですか。

A.交通事故による傷害の治療が終了してもなお何らかの障害が残り、かつ将来においてもその回復が困難で、そのような障害が残ってしまったため、従事できる仕事の種類が限定されるなど労働能力の喪失をともなう場合、そのような障害を後遺障害といいます。

後遺障害が残った場合、労働能力の喪失をともなうことから、通常は、将来にわたって収入の減少を来します。
後遺障害の逸失利益とは、交通事故がなければ得られたであろう収入の(将来にわたる)減少分をいいます。

後遺障害の逸失利益は、
基礎収入 × 労働能力喪失率 × (67歳−症状固定時の年齢)年のライプニッツ係数、
で計算します。

基礎収入は、事故当時の現実の収入額を基本としますが、場合によっては、賃金センサスという統計的な収入額の数字を採用することもあります。

労働能力喪失率は後遺障害の程度・等級によって定まっており、重い障害になればなるほど労働能力喪失率は高くなり(例えば、全く四肢の自由が利かなくなった場合などは100%)、比較的軽い障害の場合には労働能力喪失率は低くなります(例えば、いわゆるむち打ち症の場合には5%程度とされることがあります)。

Q.後遺障害慰謝料はどのような基準で決まるのですか。

A.後遺障害は、その程度によって、第1級から第14級まで14段階に分かれています。
第1級が最も重く、第14級が最も軽い等級となります。裁判実務においては、等級によって慰謝料額の基準が定まっており、例えば、第1級の場合の慰謝料額は2800万円、第14級の場合の慰謝料額は110万円となっています。

Q.タクシー乗車中に後ろから追突され、むちうち症と診断されました。
レントゲン検査等の結果によれば異常は見当たらなかったのですが、頭痛や手足のしびれなどが治まりません。
後遺障害として慰謝料や逸失利益の賠償を求めることができるでしょうか。

A.いわゆるむち打ち症については、レントゲンなどの検査結果にあらわれる他覚的所見に乏しいのが特徴ですが、他覚的所見に乏しくても自覚症状がある場合には14級の認定が受けられるケースがあります(なお、他覚的所見がある場合には12級に該当するとされるケースが多いようです)。

したがって、14級などと認定された場合には、後遺障害として慰謝料等の請求ができますが、一般に、むちうち症の場合には労働能力喪失期間が短く認定される傾向があります。
例えば、12級該当のケースについては5〜10年を、14級該当のケースについては5年以下の喪失期間を認める場合が多いようです。すなわち、むち打ち症については、後遺障害の逸失利益の額が低くなるケースが多いといえます。

Q.小学生の娘が交通事故に遭い、顔面を負傷して、傷跡が残りました。
慰謝料としていくらくらい請求できますか。また、将来、就職が上手く行かなかった場合などの逸失利益はどうなりますか。

A.顔面に傷跡(醜状痕ともいいます)が残った場合、特に女子の場合には、男子に比べて日常生活に及ぼす影響が大きいことから、傷跡の大きさな場所にもよりますが、後遺障害として、7級(「外貌に著しい醜状を残すもの」)または12級(「外貌に醜状を残すもの」)の認定を受けることが可能です。
7級の場合の慰謝料額の基準は1030万円、12級の場合の慰謝料額の基準は280万円となります。

また、女性の場合、外貌の醜状痕が就職活動において不利に作用し、条件のよい企業に就職することが困難なことなどを理由に、労働能力の一部喪失を肯定する判例もいくつか出ています。

Q.専業主婦が交通事故で死亡した場合、逸失利益は認められますか。

A.専業主婦については、就労可能年齢に達するまで女性労働者の平均賃金に相当する収入を得たものと考えて、逸失利益を認めるのが判例です。

したがって、専業主婦についても逸失利益は認められます。
逸失利益の計算方法は一般の場合と同様ですが、現実の収入を得ていないため、基礎収入としては、賃金センサスに記載された平均賃金額が用いられます。