労務管理のご相談

はじめに

個人の価値観の多様化や、経済成長の停滞等によって、労使関係をめぐる法律問題は複雑化し、新たな問題も日々発生しています。

企業経営者にとって、労使関係をめぐる紛争を適切に解決し、労使関係を円滑に運営していくことは、企業の発展に不可欠であることはいうまでもありません。

そこで、当事務所では、企業経営者及び人事労務の担当者の方々から、労務管理に関する法律相談を積極的に受け、アドバイスをしています。

また、労働者の方々からの相談も受けておりますので、是非ご相談下さい。

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労務管理のご相談
労務管理に関するよくあるご相談についてご説明します。よくあるご相談
労務管理に当事務所がどのような役割をするのかをご説明いたします。当事務所の役割

よくあるご相談

1 セクシャルハラスメントをめぐる相談

女性社員から、職場の上司、同僚である男性社員からしつこく誘われるとか、性的な言動を受けたなどという訴えがなされることがあります。
このような場合、会社としてはどのように対処するべきでしょうか。

上記のような男性社員の行動、言動は、セクシャルハラスメントにあたるとされる場合があります。
ここで、セクシャルハラスメントとは、

1:職場においておこなわれる性的な言動に対する女性社員の対応によって、その女性労働者が労働条件について不利益を受けるもの(対価型セクシャルハラスメント)

2:性的な言動によって女性社員の就業環境が害されるもの(環境型セクシャルハラスメント)

をいいます。

会社としては、職場においてセクシャルハラスメントが起きないよう配慮し、女性社員の職場環境が害されないよう努める義務があるとされています。

したがって、女性社員から上記のような訴えがあった場合には、これを放置せず、関係者から事情を聴取し、セクシャルハラスメントをおこなった男性社員に対する注意や懲戒処分、あるいは配置転換など適切な措置を講じなければなりません。
このような措置をおこたり、女性社員が深く傷ついた場合には、会社は当該女性社員から損害賠償請求を受ける可能性もありますので、注意が必要です。

2 リストラをめぐる相談

景気の低迷、これにともなう企業経営の不振から、人員削減を必要とする企業が増えています。
そこで、会社としては、例えば、人員削減のために社員を解雇するということが経営判断として必要となってくる場合があります。
このように会社側の事情によってのみおこなわれる解雇を整理解雇といいます。

このような整理解雇は、社員の権利を著しく損ないますので、判例は、整理解雇を有効とする要件を厳しく設定しています。
この整理解雇の有効要件のことを一般に整理解雇の四要件と呼んでいます。

すなわち、
第一に、人員削減が企業経営上十分な必要性に基づいておこなわれるものでなければなりません。
第二に、人員削減の手段として、整理解雇以外の手段がないかどうか真摯に検討し試みなければなりません。
例えば、配転、出向、一時帰休などの手段によって整理解雇を回避できる場合には、まずそのような手段をとらなければならないということです。
第三に、解雇の対象となる社員は、合理的な基準に基づいて選定されなければなりません。
第四に、手続的な問題として、会社は、整理解雇をおこなうにあたって、労働組合あるいは解雇の対象となる社員との間で十分な協議や説明をおこない、納得を得るよう努力しなければなりません。

このような厳しい要件が設定されていることからも分かるとおり、整理解雇はあくまでも人員削減の最後の手段として考えるべきで、まず、希望退職者の募集などの方法で、社員の自主的な退職を促していくことが穏当です。

3 時間外割増賃金をめぐる問題

退職した社員から時間外割増賃金の支払請求を受けたのに対し、
「課長や係長などの役職に付けた社員については、役職手当を支給しているので残業代は支払わない」、
「係長以上の社員は労働基準法上の管理監督者だから残業代は支払わなくてもよい」

などと主張する企業経営者の方がいます。
このような主張は通用するものでしょうか。

残念ながら、労働基準法の解釈としては、通用しないものといわざるを得ません。

まず、役職手当を支給しているから時間外割増賃金を支払わないという主張については、たとえ役職手当が時間外割増賃金の趣旨で支給されていたものだとしても、実際の時間外労働の時間に基づいて算定した時間外割増賃金の額が役職手当の額を上回る場合には役職手当との差額を支払わなければなりません。

次に、係長以上の社員については労働基準法上の管理監督者にあたるという主張についてはどうでしょうか。
労働基準法41条2号は、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」については、労働時間等に関する労働基準法の規定を適用しないとしており、この管理監督者に該当すれば、時間外割増賃金を支払わなくてもよいということになります。
そして、日常用語としては、係長以上の社員については管理職と呼ばれることがあり、管理監督者にあたると誤解することも理解できないではありません。

しかしながら、労働基準法上の管理監督者という概念は、判例によれば、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者」をいうとされています。
実際の裁判例においては、銀行の支店長代理やファミリーレストランの店長などが管理監督者に該当しないと判断されています。

要するに、ほとんど会社経営者や役員と同じような地位権限を有する者でなければ、管理監督者にはあたらないといえるでしょう。
課長や係長など、世間でいうところの管理職の大半は労働基準法上の管理監督者にあたりません。

したがって、会社が社員から未払の時間外割増賃金の支払請求を受けた場合、時間外労働の有無や時間数を問題にする余地はあっても、管理監督者にあたるとして支払義務を免れるケースは少ないものといわなければなりません。

当事務所の役割

以上述べた相談や事例は世の中に生起するもののごく一部であり、実際の相談事例は多岐にのぼりますし、日々新たな問題が発生しています。

当事務所では、訴訟提起されるなど紛争が具体化した後のサポートについては当然おこないますが、重要なことは、紛争が具体化する前に予防措置を講ずること(就業規則の作成など)や、紛争の芽が生じたときに、交渉などの手段により早期にこの芽を摘み取り事態が深刻になることを防ぐことです。

そのためには、日常的に弁護士に労務管理の問題をこまめに相談することが必要です。
そのような見地から、当事務所では、企業経営者の方々に対し、顧問契約の締結をお勧めしています。