遺産相続問題のご相談
相続をめぐる法律問題
相続が開始すると、遺言の執行、相続財産の分割、相続の放棄、遺留分の減殺等さまざまな法律問題が発生します。
これらの問題については、相続人同士の話し合いにより問題が解決される場合もありますが、昨今では、法律問題の複雑化や親族間の関係の希薄化等から、家庭裁判所の家事調停(若しくは審判)手続を利用するケースも増加しています。
単に法律で決まった相続分通りに相続財産を分割するだけであれば、問題はそう複雑ではありませんが、法律上の理由により各相続人の相続分を調整する必要がある場合(例えば、特別受益の持ち戻しや寄与分などが問題となる場合です)などには、複雑な法律問題を一つ一つクリアする必要があります。
また、将来、相続財産の分割や祭祀の継承等をめぐる問題の発生を未然に防ぐため、若しくはご自分の生前の遺志を実現されるため、遺言を作っておくこともできます。
もっとも、遺言にはいくつかの方式が民法で定められており、要式をみたさない遺言には効力が発生しないこともあります。
つまり、遺言を遺される場合にも法律問題が関係してきます。
このように相続をめぐる法律問題は、実際に相続が開始した後に生じるもののみならず、その前段階から潜在的に存在するものもあり、その内容は多岐にわたります。
| 遺産相続問題のご相談 | |
| 遺言があった場合・なかった場合の流れをご説明します。 | 相続の手続の概要 |
|---|---|
| 遺産相続問題に弁護士がどのような役割をするのかをご説明いたします。 | 相続における弁護士の役割 |
| 遺産相続問題に関するご質問にお答えいたします。 | よくあるご質問 |
相続の手続の概要
相続が開始後の一般的な流れは以下のようなものとなります。
- (1)遺言があった場合
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公正証書遺言であった場合公正証書遺言ではなかった場合 家庭裁判所で遺言の検認を行う。 (遺言の偽造や変造の防止のために行う) 遺言の執行 (遺言の内容に従い、相続財産の分割を行う)
一部の相続人が他の相続人の遺留分を侵害して相続財産を取得した場合、遺留分を侵害して取得した相続財産に対して遺留分減殺請求が行われることがある。
- (2)遺言がなかった場合
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相続人間において遺産分割協議を行う。 家庭裁判所において、遺産分割調停を行う。 協議が成立した場合協議が不成立となった場合 調停が成立した場合 遺産分割協議書を作成する。 調停で定めた通り、相続財産を分割する。 遺産分割協議書に従い、相続財産を分割する。 調停が不成立となった場合 遺産分割調停から審判手続へ移行する。 審判が確定した場合、その審判の内容通り、 相続財産を分割する。
- (3)その他
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マイナスの相続財産(被相続人が負担していた債務や保証債務等)がプラスの相続財産を上回る場合、一定期間内の間に相続放棄や限定承認等の手続を行うこともあります。
相続における弁護士の役割
相続において弁護士が問題の解決をお手伝いさせていただく場面は数多くありますが、関与する機会が最も多いのは、相続人間における遺産分割の協議(相続財産のうち、誰が、何を、どのぐらい取得するか等についての話し合いです)や家庭裁判所における遺産分割調停(この手続で話題となるのは、相続人間における遺産分割協議とほぼ同じ内容です)などです。
これらの手続において、弁護士は、法的アドバイスを差し上げることはもちろん、代理人として協議や調停に出席し、ご依頼者様の意見を反映した協議若しくは調停の成立を目指します。
また、遺言の作成や遺言の執行(遺言の内容に従った相続財産の分割などを行うことです)も、相続における弁護士の重要な仕事の一つです。
さらに、お亡くなりになった方(被相続人)が多額の負債を抱えておられる場合、その相続を放棄する手続についても、弁護士がその事務を代行させていただくことがあります。
相続に関して生じる法律問題は多岐にわたります。
また、遺留分の減殺請求のように、権利の行使に期限が設けられているものもあり、気づいた時には権利を行使すべき時期を逸してしまっていたというケースも多々あります。
単純な相続のケースと思われても、相続が開始した後は、弁護士に早急にご相談いただき、事案の内容を正確に把握されることをお勧めいたします。
よくあるご質問
相続は、被相続人の死亡によって開始します(民法882条)。
なお、「被相続人の死亡」(民法882条)には、失踪宣告や死亡認定を受けたときも含まれます。
相続人は、相続開始の時(被相続人の死亡時)から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法886条)。
民法886条は、相続人が、「相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めています。
よって、相続人は、相続の開始により、基本的には、被相続人の債務も承継することになります。
なお、被相続人の債務に対する対策は、(5)のQ&Aをご参照下さい。
相続人やその順位についての基本的な考え方は、以下を参考にして下さい。
なお、夫の相続開始時に、子も直系尊属もいなかった場合、夫の兄弟姉妹が妻と一緒に夫の相続人となります。
夫の兄弟姉妹もいなかった場合、兄弟姉妹の子が代襲相続人となります。
父母 第2順位第2順位 兄弟姉妹夫妻 第3順位第1順位 子子子子 第1順位第1順位第1順位
相続人として父の負債を返済していくしかないでしょうか?
プラスの財産よりも負債が多い場合、家庭裁判所に対して相続放棄の手続を行うことをお勧めします。相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」(民法915条1項)に行うことができます。
この三ヶ月の熟慮期間中に相続財産を処分してしまったりすると、単純承認したものとみなされ相続放棄をすることができませんので(民法921条)、この点注意が必要です。
遺言には、自筆証書遺言(968条)、公正証書遺言(969条)、秘密証書遺言(970条)等の方式があります。
これらの中でも、公正証書遺言以外の遺言書については、これを見つけた者は遅滞なく家庭裁判所に提出して「検認」という手続きを請求しなければなりません。
遺言書の検認とは、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など遺言書の 内容を確認し、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きであり、また、相続人等に遺言書の存在と内容を知らせることを目的とする手続です。
遺言書がある場合、基本的には、各相続人は、遺言の内容に従い、相続財産を取得することになります。
但し、遺言執行者がいない場合、相続人全員が同意すれば、遺言の内容とは異なる遺産分割を行うことができると解されています。
被相続人の遺言書がない場合、相続人全員の話し合いにより、遺産の分割方法や割合などを決定することになります。
基本的には、相続人各人の法定相続分に従い遺産を分割すればよいのですが、当事者間で話し合いがつけば、必ずしも法定相続分に拘る必要はありません。
なお、相続人は、相続税の申告を相続開始から10ヶ月以内に行う必要があります。
よって、遺産分割の話し合いは、相続税の申告の期限までに終了していることが望ましいのですが、とりあえず法定相続分に従った相続税を期限内に申告しておき、後に、遺産分割協議や遺産分割調停などが終了した際に、改めて修正申告等を行うということもできます。
このような場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、遺産分割調停の申立てを行い、家庭裁判所の調停において、遺産の分割方法等について話し合いをするほかありません。
「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者」(民法904条の2第1項)は、他の相続人に対して寄与分を主張できます。
あなたの場合も、被相続人の介護を行ってきたことで、その相続財産の維持又は増加に特別の寄与があると認められれば、その寄与分に応じて他の相続人よりも多額の相続分を取得する可能性があります。
この点は、父の遺産分割において、全く考慮されないものでしょうか。
「被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与」を受けた財産(「特別受益」といいます)がある場合、特別受益となった財産を相続財産に戻した上でこれを法定相続分により分割して求められる額から特別受益分を差し引いた残額が、特別受益者の実際の取得分となります(903条)。
通常、新居の購入資金などは、「生計の資本としての贈与」と解され、上記のような特別受益の持ち戻しによる調整が行われることとなるでしょう。
このような不公平な遺言に従うほかないのでしょうか?母の相続人は私と弟だけです。
遺言によっても、相続人の遺留分を侵害することはできません。
配偶者又は子が相続人の場合の遺留分の割合は法定相続分の2分の1となります。直系親族が相続人の場合の遺留分の割合は法定相続分の3分の1となります。
なお、兄弟姉妹が相続人の場合、遺留分はありません。
あなたの場合、法定相続分が2分の1で、それにさらに2分の1をかけた4分の1が遺留分の割合となります。
よって、弟に相続財産全てを相続させるという遺言があっても、相続財産の4分の1相当は、遺留分として弟に返還を請求することができます。
もっとも、このような遺留分減殺請求については、「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする」(民法1042条)と定められているため、いつまでも請求が可能と言うわけではありませんので、この点はご注意ください。